出生に関しては、父母との法律上の親子関係の成立が問蓮となります。
この点は、子が日本の国籍を有しているかどうか、すなわち、子の出生を戸籍に記載すべきかどうかについても関わります。
もっとも、母と子との親子関係は子の分娩という事実により比較的容易に知ることができ、また日本の民法上、母子関係は子の分娩という事実により生じることから、母が日本人であるときは、子は日本の国籍を有しており、あとは,父との法律上の親子関係が問題となるだけです。
しかし、母が外国人の場合、子の出生の時点で日本人父との法律上の親子関係がないことには子は出生により日本の国籍を取得しませんから、この点の確定は重要です。
ところで、親子関係には、嫡出親子関係(婚姻関係にある男女間の子と親との関係)と非嫡出親子関係(婚姻関係にない男女間の子と親との関係)とがあり、これらの関係の成立についてどの法律を適用するのかが問題となります。また、嫡出でない子が、出生後に父母の婚姻及び父子関係の成立によって嫡出子たる身分を取得する準正についてどの法律を適用するのかも問語となります。
(1)嫡出親子関係
各国の法制上 子が嫡出子であるためには、父母が法律上婚姻していることと、母の夫により懐胎したことを要件とするのが通例であり、嫡出制度の中心の問題は,母の夫の子であることの推定と否認権の問題です。
このうち、嫡出否認に関しては裁判が必要であり、その裁判に基づいてどのように戸籍を訂正するかの問題となります。
したがって、嫡出子の出生届で実際上問題となるのは、母が再婚の場合と離婚後に出生した場合に、子が母の婚姻中の夫の子であるかどうかの点です。
通則法28条1項は「夫婦の一方の本国法で子の出生の当時におけるものにより子が嫡出となるべきときは、その子は、嫡出である子とする。」とし、子の出生の時の父又は母の本国法のいずれでもよいから嫡出であるときは、子は嫡出子とするものとしています。
そこで、父母のうち一方が日本人の場合は、日本の法律により嫡出であれば、その子は嫡出子とされます。
日本の法律では嫡出でないときは、外国人親の本国法を調べ、これにより嫡出であるときは、子は嫡出子となります。
母が再婚であることが判明したときは、前婚の夫との関係も調査し、片方のみの嫡出子として推定されているときは、推定される方の夫の子となります。
いずれの嫡出子としても推定されているときは、父未定の子となります。
なお,嫡出否認について触れておきますと,@夫の本国法、妻の本国法共に嫡出であるときは、その双方の法律により、それぞれ嫡出性を否認できなければ、嫡出性を否認することができない。また、A夫の本国法のみにより嫡出であるときは、夫の本国法により嫡出性を否認することができれば、嫡出性を否認することができる。ということになります。
(2)非嫡出親子関係
嫡出でない子についての法律上の親子関係の成立(非摘出親子関係の成立)については、通則法29条1項で、父との関係については子の出生の当時における父の本国法により、また、母との関係については子の出生の当時における母の本国法によるものとしています。
非摘出親子関係については、各国の法制上 認知によって父子関係が成立する法制ほか、生理上の親子関係があるときは、認知を要件とすることなく、出生という事実によって法律上の親子関係を認める法制(「事実主義」といいます。例.日本民法上の母に対する関係や中華人民共和国婚姻法上の父又は母に対する関係)もあり、この法制との関係で認知等をどのように扱えばよいのかとの問題もあります。
この認知主義の法制と事実主義の法制のいずれについても、まず、父については父の、母については母の本国法により、非嫡出親子関係の成立を規律することとしています。
このため、日本人母から嫡出でない子の出生の届出があった場合、父の本国法が事実主義を採用しているときは、認知がなくとも父の氏名を戸籍に記載することができます。
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